社会の急激な変化、デジタル化の波、多様な価値観の共存。
これらの時代の流れの中で、日本の企業は「次世代のリーダー」をどのように育成すれば良いのか。
伝統的な管理手法から、新しいリーダーシップのスタイルへのシフトが求められる現代、企業がとるべき教育方法を深堀していきます。
リーダー育成の現場から得られた実践的なノウハウとともに、今、何を始め、どう取り組むべきかを解説します。
次世代のリーダーとは?
変わりゆく社会において、企業の先頭を走る「リーダー」の役割も変化してきました。
新しい時代のリーダーとは、どのような人物なのでしょうか。
リーダーシップの新しい定義
かつてのリーダーシップは、強い権威や指示を重視するものでしたが、現在はコミュニケーション能力や共感力を持ったリーダーが求められています。
変わりゆく時代の要請
デジタル化や多様性の増加など、変わる社会環境の中で、リーダーには新しいスキルや視点が求められるようになりました。
日本企業の現状と課題
日本の企業は独特の文化や経営スタイルを持っています。
それがリーダーシップのスタイルにどのように影響しているのかを見てみましょう。
現代のリーダー像
従来の日本の企業文化は、長時間労働や終身雇用が特徴的でした。
しかし、それがリーダー育成にどのような影響を与えているのでしょうか。
日本独特の企業文化とリーダーシップのギャップ
グローバル化が進む中で、日本のリーダーシップスタイルと国際基準とのギャップが浮き彫りになってきました。
効果的なリーダー育成教育の方法
リーダーをしっかりと育てるためには、どのような教育が効果的なのでしょうか。
基礎からの教育体系の構築
リーダーとしての基本的なスキルや知識を習得するための教育体系が必要です。
リーダーシップ講座の導入
リーダーシップに関する基本的な理論やスキルを学ぶための講座を導入することで、しっかりとした土台を築くことができます。
経験を活かした実践的な教育
実際の現場での経験を通じて、リーダーシップを磨き上げることができます。
実際の企業での取り組み事例
多くの企業がリーダー育成に取り組んでいます。
その中から、特に成果を上げている企業の取り組みを2つ紹介します。
事例1:サントリーホールディングス株式会社
サントリーは、グローバル企業として多くのM&Aを成功させています。
その中で、「One Suntory」の実現を目指し、次の時代を担う経営人材の発掘と育成に注力中です。
主な実施例としては、下記の3つが挙げられます。
- リーダーシップ・コンピテンシー
- グループタレントレビュー会議
- サントリー大学
それぞれ解説します。
リーダーシップ・コンピテンシー
グローバル人材の必要性が加速する中、サントリーではグループ全体を先導するリーダーに向けて「リーダーシップ・コンピテンシー」を策定しました。
これに反映されているのが、創業精神に沿った「サントリーらしさ」です。
グローバルな環境においても、サントリーのカルチャーを大事にしながら活躍できる人材を育成するための取り組みの一つとなっています。
グループタレントレビュー会議
次世代リーダーを見つけるという点では、「グループタレントレビュー会議」を開催することで経営人材の発掘に取り組んでいます。
この会議によってグループ各社の人材情報を共有し、後継者育成計画や適切な人材配置に活用できるようになっているのが特徴です。
また、それに伴う育成プランも実行中です。
サントリー大学
サントリーは、グローバルに活躍できる人材を育てるため、2015年に「サントリー大学」を開校しました。
ここでは、“やってみなはれ”と“利益三分主義”というサントリーの創業精神への共感が進むような学習プログラムを展開しています。
また、米国のトップ大学と独自のプログラム開発を行い、ケースステディで学べる環境も提供中です。
「高い目標を立てて失敗も許容する」「アイデアを促進してそれをサポートする」といったサントリーならではの環境の中で、国境を越えた次世代リーダー候補を育成し、次々に輩出することに成功しています。
事例2:株式会社商船三井
株式会社商船三井は、1884年に大阪商船として誕生して以来、130年余の歴史を有する世界最大級の総合海運企業です。
世界の資源を輸送する海運業を中心としたグローバルな事業展開を図っており、多彩な周辺事業の運営でも有名です。
主な実施例として次の3つが挙げられます。
- MOL CHART
- One MOL グローバル経営塾
- グローバル人材育成プログラム
それぞれ解説します。
MOL CHART
株式会社商船三井グループは、3つの企業理念と長期ビジョンを掲げ、グループ全社員の行動指針として「MOL CHART」を制定しています。
「CHART」とは、「Challenge」「Honesty」「Accountability」「Reliability」「Teamwork」という5つの価値観の頭文字であり、社員が向かうべき方向として「海図」の意味も込められているのが特徴です。
「MOL CHART」では、「自律自責型の人材」を育成することを目指しており、そのため、「リーダーシップ」「コミュニケーション力」「ファイティングスピリット」「タフネス」という4つの素養を重視し、異文化や語学に関する教育も実施しています。
One MOL グローバル経営塾
「One MOL グローバル経営塾」は、2014年度から開始された社内スクールで、グローバルな環境でマネジメント力やビジョンを描けるスキルやマインドセットを学ぶことを目的としています。
対象者は、同社および海外現地法人の各部門から推薦された次世代を担う人材です。
期間は約1カ月半おきに5日程度ずつ日本で開催され、3回に分けて行われます。
プログラムは、イノベーティブな思考法やリーダーシップなどのフレームワークを学んだ後、小グループで「10年後の商船三井を創造する」というテーマに沿ってアクションラーニングを行い、最終日には経営陣に対し提言をプレゼンテーションするという内容です。
役員をメンターとするなど、受講生が一人ひとりの個性・ビジョンを発揮できるように工夫されたプログラムとなっています。
グローバル人材育成プログラム
経営塾への参加候補前の若手社員に向けては、35歳前後の国内グループの管理職層を対象にさまざまな人材育成プログラムを実施しています。
語学講座や海外赴任予定者への研修、経営リテラシーを学ぶ「経営スクール」などを通じて、グローバル人材としての育成を図ります。
flapsplan | 次世代リーダー育成の3つの企業事例を紹介!
まとめ
次世代のリーダー育成:日本の企業が取り組むべき教育方法のまとめ
まとめ
- 次世代のリーダーとは:現代のリーダーは、権威主導ではなく、コミュニケーションや共感力を重視したリーダーシップが求められている。特にデジタル化や多様性の増加など、変化する社会に対応した新しいスキルや視点が不可欠。
- 日本企業の現状と課題:日本の伝統的な企業文化(長時間労働や終身雇用など)は、グローバルな基準とのギャップを生むことがある。このギャップを埋めるための新しいリーダーシップスタイルが必要。
- 効果的なリーダー育成教育の方法:リーダーとしての基礎知識を学ぶ講座の導入や、実践的な経験を通じてスキルを磨くプログラムが効果的。特に、実際の現場での経験はリーダーシップを磨き上げるうえで重要。
- 実際の企業での取り組み事例:大手から小中企業まで、多くの企業が独自のリーダー育成プログラムを実施。これらの取り組みから学べる成功事例やノウハウが存在する。
このように、次世代のリーダーを育成するためには、時代の変化を理解し、その上で適切な教育方法を採用することが不可欠。
日本の企業も、これらの新しい取り組みを積極的に進めるべきであると言えるでしょう